三姉妹

中国の他の多くの地域と同様に、若者はより良い人生を求めて村を離れ、村には子供と老人、村を出ることの出来ないわずかな大人だけが残っている。ぼろぼろの服を着て、村びとは毎日畑で働き、子供と老人は家畜の世話をする。親が家を離れ、老人とだけ暮らしている子供たちは、総じてあまり教育を受けていない。進学は家族にとってあまりに高額なので、子供たちは大体の場合、小学校までしかいかず、中には毎日畑仕事をするために学校にいけない子供さえいる。

どの家族にも、3〜4人の子供たちがいる。通常、どの家族も娘を冷遇する。娘が14歳の誕生日を迎える前に、両親は夫を選び、数年後には結婚させる村での生活はあまりに厳しいので、娘たちは家族が夫の両親からより多くの贈り物を受け取るために、少しでも豊かな地域から夫を見つけようとする。そのため村の男子は妻を見つけるのが困難で、唯一の方法は、まだ子供のうちに親が縁談を決めてしまうしかない。

男の家族は、女の家族に財政的またはその他の問題がある場合には、援助をしなければならないだけでなく、早いうちから女の家族に贈り物をしなければならない。

それが、この映画に描かれた、3人の娘がいる家族が暮らす村の日常である。

父親は、37歳だった。数年前、彼の妻は3人の子供たちを捨てて村を出て、それ以来彼女からは連絡がない。わずかな土地と2頭のブタで、父親はその小さな家族を養おうとした。高地の気候は厳しく、ジャガイモの収穫は、年によって恵まれないこともある。父親には、ここで毎年十分に暮らしていく自信がなかった。そして彼は、娘たちだけを村に残して、町に出稼ぎに行くことに決めた。

3人の娘たちは栄養不足で、彼らの実際の年齢よりも小さく見える。長女のインインは10歳だが、8歳くらいに見える。母親が家を出て、妹たちの面倒を見なければいけなくなる前は、2年ほど学校に通っていた。インインは毎朝、妹たちを起こすと、ジャガイモを料理し、ブタに餌をやる。インインは、家のすべてをやりくりしている。彼女の毎日の日課は単純で、一家を背負っている。彼女は母親代わりに妹たちの面倒を見る。

目はしがきいて悪戯な次女のチェンチェンは、姉の言うことをきかず、いつも姉の影響下から逃げ出そうとしている。チェンチェンは姉の言うことはいつもおかまいなしで、彼女は常に、遊ぶこと、楽しいことを探している。 末娘のフェンフェンは、まだ4歳で、いつでも泥だらけになっている。姉たちのあとを追いかけるが、自分の世界にいる時は、おとなしくしている。

洗羊塘村は当局による全村移住が決まっている。
しかし2013年2月の段階では、村民たちはまだ村に暮らし、
自分たちがいつどこへ行くのかも知らされていないという。

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