テルアビブに暮らすフランス系イスラエル人の家族。ある日、18歳になった息子が兵役検査を受ける。そして残酷にも、その結果が証明したのは、息子が実の子ではないという信じ難い事実。18年前、湾岸戦争の混乱の中、出生時の病院で別の赤ん坊と取り違えられていたのだ。やがてその事実が相手側の家族に伝えられ、2つの家族は、それが“壁”で隔てられたイスラエルとパレスチナの子の取り違えだったと知る……。アイデンティティを揺さぶられ、家族とは何か、愛情とは何か、という問いに直面する2つの家族。はたして、彼らは最後にどんな選択をするのだろう。
イスラエル人、パレスチナ人撮影スタッフの意見を日々取り入れて、この衝撃的な題材をリアルで感動的な家族の物語に完成させたのはフランスの女性監督ロレーヌ・レヴィ。育てた子と産んだ子の狭間で揺れる2人の母に、フランスのトップ女優エマニュエル・ドゥヴォスとパレスチナ映画界の大女優アリーン・ウマリ、その息子を子役時代から活躍するジュール・シトリュクと美しき新進俳優マハディ・ザハビ。フランス、パレスチナ、イスラエル…異なる背景を持つ俳優たちの、このうえなく繊細で献身的な演技を、世界中のメディアが絶賛。対立を乗り越え希望を見いだそうとする人間の強さに、誰もがもう一度、未来を信じたくなる名作が誕生した。