学生運動を含めた空港反対運動というものが終焉を迎えざるを得ない状況と、それに関わってきた人たちの人生が終焉に向かっていく!という重要なことが常に並行して起きてきたことがこの作品では描かれている。
その時にどのような選択をしたかで、お互いに傷つけあっているうちに、事態は国家権力の思うつぼにはまっていったことの忸怩たる様は残念としか言いようがない。
画面から出てくる自分の音が暴力的に聞こえたのが不思議だった。
坂田明(ミュージシャン/『三里塚のイカロス』演奏)
こういう映画を私は必要としていた。
そこで「悲哀」は「あきらめ」に似て非なるままになお、明るく、
「絶望」は望みを稀少のままにつないでなお、「希望」に近い。
加藤典洋(文芸評論家)
自分自身が成人して以降にも連なる話で、かつ、自分自身がもがいてきたアンダーグラウンドな音楽の世界にもどこかで通じる話にも思え、見れば見るほど他人事でも歴史物語でもないように思えてきたんです。だったら、「自分自身にとっての三里塚は何か」から音楽を作ろう、そう決めて、即興演奏と日本独特の風土で育ったフリージャズで行くことにしました。
大友良英(音楽家/『三里塚のイカロス』音楽)
映画『三里塚のイカロス』に寄せて──
とことわに翼ひろがれ イカロスの
君もがんばれ 我もがんばる
道浦母都子(歌人『無援の抒情』)
農民闘争を超え先鋭化する若者たちの熱は自らの翼を焼いて墜落した。
その大地を滑走しジェット機は飛び立つ。
しかし不屈の風は葬られてはいない。遥か南の辺野古に届いている。
三上智恵(映画監督)
知らないことだらけだった。
三里塚、それぞれの立場からの貴重な証言に、自分の「今」が問われている気がした
雨宮処凛(作家・活動家)
近代日本の歪んだ開発方針を、身を投じて真っ直ぐに正そうとした人々の人生が歪められてしまった。しかし国家に向かって真正面からNO!と言えた事実は、今の時代に大いに考えさせる。
ジャン ユンカーマン(ドキュメンタリー映画監督)
国家権力に襲われる農民を助けに入った「七人の侍」たちが、結婚したり逮捕されたり仲違いしたりしてぐちゃぐちゃになって数十年経つとこうなるという、そういう映画である。見応えあり。
想田和弘(映画作家)
左翼の人も右翼の人もあらゆる立場の人に見てもらいたい。
ここには「生活のリアル」と「人生の時間」がある。
鴻上尚史(作家・演出家)
イカロスは墜落した。しかし太陽に一矢報いたあの一瞬は永遠の輝きを放つだろう。