フランス女優ならではの際立った個性的な美しさでファンを魅了し続ける名女優。
1964年5月10日生まれ。両親はともに俳優。当初は舞台俳優を目指していたが、同世代の女性監督ノエミ・ルヴォフスキーのFEMIS卒業制作に出演したことがきっかけで映画に出演。その頃の仲間であるアルノー・デプレシャン監督作品には『二十歳の死』(91)からたびたび出演し、96年の『そして僕は恋をする』ではセザール賞有望若手女優賞にノミネートされた。2001年、ヴァンサン・カッセル共演のジャック・オディアール監督作『リード・マイ・リップス』に主演。出所したばかりの粗野な青年に惹かれる難聴の女性を演じ、『アメリ』のオドレイ・トトゥを抑えてセザール賞主演女優賞を受賞。04年のデプレシャン監督作『キングス&クイーン』では輝くような美しさと演技力で、カトリーヌ・ドヌーヴ、マチュー・アマルリックらを圧倒する強い印象を残した。監督や題材さえ良ければ役の大きさを気にせず脇役でも出演するスタンスを貫いているが、ベテランとなった現在でも、本作や、女性を守るため妊娠中絶を合法化した実在の女性政治家シモーヌ・ヴェイユを演じた『La lo i(法律)』(14)など主演作が相次ぎ、50代にして輝かしい円熟期を迎えている。
1991 | 二十歳の死(アルノー・デプレシャン) |
1992 | 魂を救え!(デプレシャン) |
1994 | 哀しみのスパイ(エリック・ロシャン) |
1996 | アンナ・オズ(ロシャン) そして僕は恋をする(デプレシャン) |
1999 | パリの確率(セドリック・クラピッシュ) |
2000 | エスター・カーン めざめの時(デプレシャン) |
2001 | リード・マイ・リップス(ジャック・オディアール) |
2004 | キングス&クイーン(デプレシャン) |
2005 | 真夜中のピアニスト(オディアール) |
2008 | クリスマス・ストーリー(デプレシャン) ココ・アヴァン・シャネル(アンヌ・フォンテーヌ) |
2009 | 風によそぐ草(アラン・レネ) |
2012 | もうひとりの息子(ロレーヌ・レヴィ) |
2013 | ヴィオレット-ある作家の肖像-(マルタン・プロヴォ) |
2014 | La loi(クリスチャン・フォール) |
端正な美しさとセザール賞8回ノミネート2度受賞の実力を兼ね備え、フランス映画界を代表する女優のひとり。『アリスの出発』(95)でセザール賞助演女優賞、ロミー・シュナイダー賞を受賞。主な代表作に『哀しみのスパイ』(94)、『ボーマルシェ フィガロの誕生』(96)、『プチ・ニコラ』(09)、『屋根裏部屋のマリアたち』(10)、『愛して飲んで歌って』(14)。アルベール・デュポンテル監督の『9 mois ferme" (9ヶ月間)』(13)で2014年セザール賞主演女優賞。翌年も『Elle L'Adore(彼女、崇拝者)』(14)でセザール賞主演女優賞にノミネートされ、その演技力がますます高く評価されている。本作で演じた、これまでのイメージを打ち破る新しいボーヴォワール像は、批評家に絶賛された。
ベルギー出身。ダルデンヌ兄弟監督の96年作『イゴールの約束』の父親役で大きな印象を残し、その後も『ロゼッタ』(99)、『息子のまなざし』(02)、『ある子供』(05)、『ロルナの祈り』(08)、『少年と自転車』(11)、『サンドラの週末』(14)とダルデンヌ作品になくてはならない存在となる。他の作品に、『リード・マイ・リップス』(01)、『ジャック・メスリーヌ』(08)など
1957年5月13日生まれ。コメディ・フランセーズの俳優として舞台、映画で活躍の後、作家、そして映画監督に。実在した女性作家セラフィーヌ・ルイを描いた2008年の『セラフィーヌの庭』はセザール賞で作品賞・脚本賞・撮影賞・女優賞をはじめ7部門を受賞した名作。本作でも、女性芸術家の深い内面を描き、優れた脚本、大胆な構成、瑞々しい自然描写などが高く評価されている。
1997 | Tortilla y cinema |
2003 | Le ventre de Juliette |
2008 | セラフィーヌの庭/Séraphine |
2011 | Où va la nuit |
2013 | ヴィオレット-ある作家の肖像-/Violette(本作) |
1952年チュニジア生まれ。フランスの作家・翻訳家・編集者。ガリマール社のコレクション・ブランシュから刊行された代表作「Aimer(愛すること)」(96)ほか40作を超える小説やエッセイを発表している。同時にフランスにおけるイタリア文学、日本文学の重要な翻訳者であり、イタリア文学ではパゾリーニ、モラヴィアに造詣が深い。中村亮二とともに訳した日本文学では夏目漱石、三島由紀夫、谷崎潤一郎、大江健三郎、安部公房、津島佑子、小川洋子、辻仁成、湯本香樹実、山崎ナオコーラらを翻訳、蓮實重彦著「Yasujirô Ozu」(カイエ・デュ・シネマ刊)も訳している。94年、ヴィオレット・ルデュックの伝記「Éloge de La Bâtarde」を発表。
1960年ベルギー生まれ。写真を学んだ後、ベルギー国立高等舞台芸術学校で映像を学ぶ。短編作品を監督するが、しだいに興味は撮影へと移る。99年カンヌ審査員グランプリに輝いたブリュノ・デュモン監督の『ユマニテ』で高く評価される。12年、キャロリーヌ・シャンプティエとともに撮影を担当したレオス・カラックス監督の『ホーリー・モーターズ』ではシカゴ国際映画祭撮影賞を受賞した。
ジャン=ピエール・ジュネ監督作の『アメリ』(01)で一躍、人気衣裳デザイナーとなる。ジュネ監督作は『ロング・エンゲージメント』(04)、『ミックマック』(09)『天才スピヴェット』(13)を手がけている。本作のプロヴォ監督とは『Le Ventre de Juliette』(03)『セラフィーヌの庭』(08)で組み、『セラフィーヌの庭』でセザール賞最優秀衣裳賞を受賞した。その他の作品にノエミ・ルヴォフスキー監督の『カミーユ、恋はふたたび』(12)。14年の『イヴ・サンローラン』での仕事も話題となった。