劇場の方からのコメント

絶賛・唖然・感動!コメント続々到着!

機能主義を徹底する閉ざされた空間。だが、それを裏切る人々の営みの豊かさが愛おしい。

五十嵐太郎
建築史家、建築評論家

絶妙な距離で対象を追うカメラ。ロベール・ブレッソンを思い出した。鉄格子の内側にうごめく人々と空気に、身も心も揺さぶられる4時間だ。

石井達朗
舞踊評論家

今この瞬間も、ワン・ビン監督がどこかの誰かを、優しく冷徹なまなざしで見つめているかと思うと、背筋がのびる。
同じ世界を生きていて良かった、と思う。

入江悠
映画監督

湿気、ニオイ、映画の中、鉄格子の向こう側から戻って来れなくなりそうになった。

戌井昭人
作家、鉄割

人、人、人、人の声にならない呻きが響く。王兵が開いた扉の向こうには、人の裸形が浮き立つ。
だが、それは、鉄格子という鏡に反照した私らの姿にほかならない。

上野昻志
映画評論家

本作が公開されることは、それ自体「事件」である。観客は完全に、ノックアウトされる。

大野更紗
作家

狂気は作られる。その戦慄の実写は、どこかに日常性を有し、狂気と正常の狭間さえも消し去る。

織田淳太郎
ノンフィクション作家 『精神医療に葬られた人びと 潜入ルポ 社会的入院』著

愛を求めて『収容病棟』を彷徨う男はかけがえのない固有さをまとっています。にもかかわらず、その一歩一歩に寄り添ったバックショットは、すべての傑作がそうあるように、時間の外へ飛躍して神々しいまでの普遍へと伸びています。

小出豊
『こんなに暗い夜』監督

リアルという言葉が空々しくなるほどに彼らはそこに生きていました。不思議なほど詩的な時間でした。

七里圭
映画監督

これは紛れもないドキュメンタリーなのだが、同時に、沢山のドラマの欠片が芽吹く、無類に面白い群像劇でもある。
地球上に、この場所が実在するということ、この人たちが私たちと同じ世界で生きているということに、驚きと目眩と、悲哀と、そして歓びを感じる。

佐々木敦
批評家、早稲田大学教授

ワン・ビンの映画は今回もまた、奇跡の一瞬一瞬を積み重ね、壮絶にして優しい。

瀬々敬久
映画監督

『収容病棟』は、実は食べてもほとんど消化不可能な、ゴロッとした大きな岩みたいな作品なんじゃないか?うっかり食べてしまったばっかりに、これからずっと胃がもたれそうだ…。

想田和弘
映画作家

精神病者の姿は驚くほど自由で個性的だ。中国社会を辺境から描き出す監督の手腕に脱帽。

信田さよ子
臨床心理士

そこに有る光を拾いフレーミングを固定させ空気に溶け込んだワン・ビン監督。ドキュメンタリーのお手本みたいな映画だ。
温もりと安らぎを求めあう同性愛者・家族に歓迎されていないと知り街を彷徨する人・再会を喜び合う親と娘・人間社会の希望と残酷を描いていると思った。

橋口譲二
写真家

この苛酷な光景をこれほど面白そうに眺めてよいものだろうか。
そう訝りながらも、最後まで息をつめて見まもってしまった。

蓮實重彦
映画評論家

収容病棟とは、他ならぬ“この世の縮図”である。収容されている人々は、私たち自身である。
だからこそ無性に愛おしい。このような人間観を持っている王兵監督は、信頼できる。

原一男
映画監督

ワン・ビン監督は体もカメラも透明にする魔法を持っているのだろうか、と唖然となる。スクリーンの内と外がぐにゃりと捩じれる快感!

深田晃司
『ほとりの朔子』『いなべ』監督

すべての望みが断たれている。見つめ返して来るものは私たちの現実である。だからこそ、ここから思考せねばならないのだ。

松田正隆
劇作家

最初は異なる人たちだ。何を考えているかまったくわからない。でも時間が過ぎると同時に、彼らがわかってくる。同じように怒る。泣く。拗ねる。愛を求める。何も変わらない。僕やあなたと同じ人たちだ。いとおしさが込み上げる。それにしてもワン・ビンはおそろしい。絶対に彼の作品の被写体になりたくない。

森達也
映画監督、作家、明治大学特任教授

現代映画の驚くべきシンプリファイ。その一極が『ゼロ・グラビティ』であり、もう一極がワン・ビンの『収容病棟』だ。

森直人
映画評論家

患者とともに、私は“檻”の中にいる。彼らと虚無の中を歩き回る。なぜ、こんなに気持ちが和むのだろう?

森下くるみ
文筆家・女優