発熱?狂気?
ロシアの鬼才 キリル・セレブレンニコフが描くポスト・ソヴィエト時代の迷宮的ポートレート。
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驚くべき長回しショット、めくるめく場面転換、ロシア社会への強烈な風刺、型破りな芸術的感性、刺激的なアクション、息を呑むほどのパワー。2021年カンヌ国際映画祭で、名だたる批評家を驚かせ、フランス映画高等技術委員会賞に輝いた本作。監督は、ロシア演劇界の鬼才で映画監督としても世界が注目する『LETO-レト-』のキリル・セレブレンニコフ。原作は、強烈なブラックユーモアでセンセーションを巻き起こしたベストセラー小説だ。2017年に国からの演劇予算横領の疑いで自宅軟禁状態となったセレブレンニコフが、軟禁という不条理な状況下で脚本を書き、闇に隠れて撮影したという本作。現代ロシアの迷宮を疾走し、映画の迷宮を疾走する2022年の必見作!
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2004年のロシア、エカテリンブルク。インフルエンザが流行している。ペトロフは高熱にうなされ、妄想と現実の間を行ったり来たり。やがてその妄想は、まだ国がソヴィエトだった子供時代の記憶へと回帰し…。
監督プロフィール
演出家・映画監督。1969年、ロストフ・ナ・ドヌ生まれ。父親はユダヤ人の外科医、母親はウクライナ人のロシア語教師。1992年、地元ロストフの大学を卒業(専攻は物理学)。在学中から演劇活動を開始。2000年代以降は拠点をモスクワに移し、モスクワ芸術座などで公演。2012年には正規の演劇教育の経験がないにも関わらず、権威あるゴーゴリ記念モスクワドラマ劇場の芸術監督に指名され、まもなく劇場をゴーゴリ・センターへと改組。大胆な演目に挑戦するなどロシアのみならず世界の注目を集める。スタニスラフスキー賞(2005)、黄金のマスク賞(2018)などロシアの権威ある演劇賞を多数受賞。2021年2月までゴーゴリ・センターの芸術監督を務めた。
映画監督としてのキャリアは1998年にスタート。これまでの作品はカンヌ、ヴェネチア、カルロヴィ・ヴァリなど世界の映画祭で数多くの賞を受賞している。2017年、国からの演劇予算の不正流用を疑われて詐欺罪で起訴され、自宅軟禁に。かねてよりロシアのジョージア侵攻やクリミア併合、LGBTへの抑圧を批判するなど、政権に批判的な姿勢を明らかにしていたため、この逮捕を不当な政治弾圧と見る向きもあり、演劇界・映画界からセレブレンニコフを支持する声が上がった。2018年のカンヌ映画祭で『LETO ‒レト‒』が上映された際は、軟禁により参加できず、女優のティルダ・スウィントンなどが「セレブレンニコフに自由を」とアピール。2018年8月にはフランス芸術文化勲章最高位(コマンドゥール)を受章。2020年6月10日有罪判決が下され、 3年の保護観察、執行猶予付き3年の刑及び罰金となる。本作の脚本は自宅軟禁中に執筆された。
フィルモグラフィー
フィルモグラフィー(長編監督作品/受賞は主要なもののみ)
*製作年、邦題(日本で劇場公開された作品のみ)、原題、日本語訳、英題の順に表記。
1998
Раздетые|服を脱ぐ|Undressed
2004
Рагин|ラギン|Ragin
2005
Постельные сцены|ベッドシーン|Bed Stories
2006
Изображая жертву|犠牲者を演じて|Playing the Victim[キノタヴル映画祭グランプリ]
2008
Юрьев день|ゲオルギオスの日|Yuri’s Day [ワルシャワ国際映画祭グランプリ][ロカルノ国際映画祭青年審査員賞、ドン・キホーテ賞、エキュメニカル審査員賞スペシャル・メンション]
2012
Измена|裏切り|Betrayal
2016
Ученик|学生|The Student[カンヌ国際映画祭フランソワ・シャレ賞][キノタヴル映画祭監督賞]
2018
『LETO ‒レト‒』 |Лето|夏|Leto [カンヌ国際映画祭コンペティション部門出品 サウンドトラック賞最優秀作曲家賞][ニカ賞監督賞][ロシア批評家ギルド監督賞]
2021
『インフル病みのペトロフ家』|Петровы в гриппе|インフルエンザの中のペトロフ家|Petrov’s Flu [カンヌ国際映画祭コンペティション部門出品 フランス映画高等技術委員会賞]

*〈次回作〉 Жена Чайковского|チャイコフスキーの妻|Tchaikovsky’s Wife
インタビュー
DEADLINEインタビュー:
‘Petrov’s Flu’ Director Kirill Serebrennikov Talks Travel Ban, Next Movie & Why He’s Backing Paul Verhoeven For The Palme d’Or-Cannes(2021/7/9、Tom Grater)、
Film Commentインタビュー: Cannes Interview: Kirill Serebrennikov(2021/7/9、Jordan Cronk)より抜粋
          昨夜、この映画を観て、一晩中その夢を見ていました。今日もまだ、映画のことを考えています。いろいろ解き明かしたいことがあるので、まず、制作のプロセスから教えてください。
セレブレンニコフ:小説は高く評価され、およそ受賞しうる限りのロシアの文学賞を受賞しています。イリヤ(スチュアート、プロデューサー)が権利を買ったんですが、この極めて奇妙な作品にどう取り組めばいいのか。シュールで多層的で複雑で、言葉に関して並外れた作品です。あなたがこれを原語で読めないのは残念ですね、まさに傑作です。さて、これをどう映画にすればいいのか。
私は自宅軟禁状態にあったので、イリヤは「時間はあるんだから、脚色の方法を考えてくれないか」と言いました。それで計画に乗ったわけですが、私は完全に魅了されてしまいました。この作品は詩です。著者は散文も書いていますが、もともと詩人なのです。ですからこのテクストの構成は詩的です――そして映画とは詩的なものです。
プロデューサーは脚本を気に入り、監督を探しました。しかしそこで状況が変わったんです。私は軟禁状態から解放されました。その後裁判が始まりはしましたが、働く時間はあったので、「ともかく僕が撮ろう」と言いました。1、2ヶ月は眠らない日々が続きました。昼間は裁判、夜は撮影。スタッフも俳優も何が起きているか理解し、協力してくれました。
          どれくらい自由に映画を作ることができましたか。
セレブレンニコフ:脚本を書いているときは軟禁状態でした。軟禁が解かれてから映画の準備と撮影を始めました。撮影はやや密かに、主に夜に行いました。俳優たちは、夜や早朝に撮影することに同意してくれました。撮影はとても楽しいものでした。何度もリハーサルしなくてはいけない長回しのショットをたくさん準備したのですが、私はエキストラ全員を――お年寄りまでも――集めて、メイクをして衣装も着せ、カメラも入れてリハーサルを行わなくてはいけないと、プロデューサーを説得しました。彼らから見れば馬鹿げていたでしょう。「カメラを入れるなら撮ってしまえばいいじゃないか」という話ですから。でも私は意見を曲げませんでした。これらのショットはとても慎重に、精密に準備される必要があったので、時間がかかりました。準備期間は長かったですが、撮影は厳密に行われました。本当にきついスケジュールでしたね。
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1968年、モスクワ生まれ。1992年、全ロシア映画大学(VGIK)撮影学部を卒業。『12人の怒れる男』(2007)、『戦火のナージャ』(2010)、『遥かなる勝利へ』(2011)、『サンストローク 十月革命の記憶』(2014)などニキータ・ミハルコフ監督作で数多く撮影監督を務める。また『The Students』、『LETO ‒レト‒』などのセレブレンニコフ監督作で撮影を担当。2015年には上海国際映画祭、さらにロシアの代表的映画賞であるゴールデン・イーグル賞で撮影賞、2017年にはソチで開催されるキノタヴル映画祭で撮影賞を受賞するなど受賞歴も多数。
1987年、モスクワ生まれ。ロンドン大学ゴールドスミス・カレッジを卒業。2011年にムラド・オスマンとともに映像制作会社Hype Productionを設立。多くのミュージックビデオや世界的ブランドのCM製作に携わる。『The Student』、『LETO ‒レト‒』などセレブレンニコフ監督作を製作。2018年にはヴァラエティ誌の「注目すべきプロデューサー10人」に、ムラド・オスマンとともに選ばれた。
1985年、北カフカス・ダゲスタン共和国のカスピースクに生まれる。インペリアル・カレッジ・ロンドンで工学を専攻。その後写真家として活動する。2011年、現在の妻ナタリアとともに、Instagramで400万人のフォロワーがいる「#FollowMeTo」プロジェクトを展開。一躍有名インフルエンサーとなる。2011年にイリヤ・スチュアートと共に映像制作会社Hype Productionを設立し、数多くの映像作品の製作に携わる。セレブレンニコフ監督の『The Student』ではエグゼクティブ・プロデューサー、『LETO ‒レト‒』ではプロデューサーを務めた。
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AFC インタビュー:
Interview with Vladislav Opelyants, RGC, about his work on "Petrovʼs Flu", by Kirill Serebrennikov : A hypertrophied Surrealist reality(2021/7/20)より抜粋
          この映画の撮影で最も重要視したことは?
オペリヤンツ:私にとって、映画で一番重要なのは雰囲気です。それはリアルでなくてはならず、照明はスクリーンで起きていることに貢献しなければいけません。この映画は子供時代を除いて、明るい雰囲気ではありません。私たちの意図は、主人公の世界がいかに閉所恐怖症的か、一人ひとりの登場人物の生活がいかに現実と幻想が混合であるかを見せることにありました。彼らにとって幻想と現実との間に境界はありませんが、その感覚は現実的なセットと不気味な照明を組み合わせることで実現しました。スタジオセットも、昔の場所の忠実な再現です。例えば天井の低い窮屈なアパート…不自然なところは全くありませんでした! つまり、この映画の本質は肥大化したシュールなリアリティのようなものだと思います。
          この映画には名人芸の長回しがたくさんありますね。
オペリヤンツ:長回しはキリルの持ち味です。決して、怠惰で編集したがらないからではありませんよ! 彼は観客を映画の中に直接的に没入させたいと思っています。長回しのショットでは、いつも使っているアレクサ・ミニの手持ちカメラで撮影しています。ときどきステディカムも使いましたが、ドリーは一度も使いませんでした。
          自殺しようとする作家のとても長いショットについて話してください。
オペリヤンツ:あのショットを取り上げてくれてありがとう! あれは廃工場に建てたセットで撮りました。18分もあります! 1日かけて長丁場のリハーサルをしたあと、また1日かけて長丁場の撮影をしたんですよ! 映画全体の中で、間違いなく一番複雑なショットです。キリルはこのシーンから撮影を始めると決め、私を含めてスタッフ全員、こんなに大変なシーンで始めるなんてと不安を感じていましたが、キリルはこのショットを撮ってしまえばもう怖がるものは何もなくなると説明しました。撮影にはステディカムを使いましたが、人物を追ってエレベーターに入っていくところなどは特に難しかったですね。
日本の観客の皆さんへ

今は困難な時期ですが、皆さんのご多幸をお祈り申し上げます。
キリル・セレブレンニコフの作品が皆さんの魂に余韻を残してくれることを願っています。というのも、映画には、おそらく誰もが冷静ではいられないようなショッキングなエピソードもありますが、温かな心と心地良さに本当に感動するシーンが多々あるからです。 映画の言語はどんな観客にも理解できます。それは、言葉ではなく形象の言語だからです。それゆえ、映画の言語は素晴らしいのです。
キリル・セレブレニコフは映画言語の巨匠です。
アレクセイ・サリニコフ
2022年2月7日
キャスト
演出家・俳優。1987年、ムルマンスク生まれ。2011年、サンクトベテルブルク国立舞台芸術大学を卒業。演出家としては、2014年にロシアの著名な演劇賞「黄金のマスク賞」にノミネートされるなど高く評価されている。映画俳優としては、2012年『People Out There』に出演。その演技がセレブレンニコフ監督に注目され、『LETO ‒レト‒』に出演した。2020年には監督デビュー作『Man from Podolsk』が公開され、ロシアのキノタヴル映画祭の長編映画部門やニカ賞の「今年の発見」賞にノミネートされた。
          私は演出家の目で小説を読みました。素晴らしいとは思いましたが、出来事の多くが登場人物の想像の中で起きるので、正直なところ、どう舞台にすればいいのか全くわかりませんでした。でも、映画になったら凄いものになると感じました。物語の舞台になっている歴史的時期といい、ヴィヴィッドで直感に響く映像になるだろうと思ったからです。(セミョーン・セルジン)
1975年、カザン生まれ。映画のペトロワと同様、タタール系のバックグラウンドを持つ。幼少期はフィギュアスケートの専門的な訓練を受けていたが、背中を怪我して挫折。数学を学んだが、女優になることを決意しカザン演劇学校に入学。その後モスクワに移り、1998年に国立舞台芸術大学 (GITIS)を卒業した。在学中の1997年に映画デビュー。以降、『ルナ・パパ』(1999)、『ツバル』(1999)、『グッバイ・レーニン!』(2003)など多くの映画に出演。舞台女優としても活躍している。ロシアの代表的映画賞であるゴールデン・イーグル賞助演女優賞(2007)やニカ賞女優賞(2021)など受賞歴多数。
          私は出版されるとすぐこの本を読みました。飛行機で読んだと思います。とても才能ある著者による抱腹絶倒の作品だと思いました。本当に笑いすぎてしまったので、キャビンアテンダントに静かにしてと注意されたほどでした。(チュルパン・ハマートワ)
1984年、ペスコフ生まれ。2006年に国立舞台芸術大学(GITIS)の演出部門を卒業。夫アレクセイ・ウチーチェリの監督作『チェチェン包囲網』(2008)、『爆走機関車 シベリア・デッドヒート』(2010)などに出演し、人気を得る。2015年の『ロシアン・スナイパー』では北京国際映画祭主演女優賞を受賞。女優業のかたわら、神経系の病気を患う子供たちを助けるための慈善団体・ガルチョノクを創設した。2021年10月には宇宙で映画を撮影するプロジェクトにクリム・シペンコ監督とともに参加。国際宇宙ステーションで映画撮影をした初めての女優となった。
          この企画に誘われる以前に本を読み、完全に魅了されていました。読んだあと心に浮かんだキーワードはシュルレアリスム。このようなシュールなことが実際自分の身に起こったら、それを意識することもなく慣れてしまうかもしれません。でも、誰か別の人の物語の中でそれを読むと、ヒステリックなほどに笑えるものです。(ユリヤ・ペレシリド)
ミュージシャン。1988年、チェリャビンスク生まれ。ウクライナ・スラブチッチで育つ。2006年からアンナ・ドブリドネワとのデュオ「Para Normalnykh」で活動。2010年にソロに転向。ウクライナ、ロシアの音楽シーンを席巻した。2016年には、ウクライナのアンダーグラウンド音楽を紹介するインディーレーベル「Masterskaya」を設立。音楽界の最も重要なイノベーターの一人。2011年以来、数本の映画に俳優として出演している。
          何本かの映画で平凡な監督たちと組んだことがあったけど、うまくいかなかった。しまいにはファンから「頼むから映画だけにはもう出ないで」と言われる始末。だからもう二度と映画に出ないと心に決めた。でも、キリル・セレブレンニコフからオファーされたとき、僕は挽回する良いチャンスだと思った。彼のような監督に誰がノーと言えるかい?(イワン・ドールン)
1980年、モスクワ生まれ。ロシアとカナダを行き来しながら育つ。2000年にボリス・シーシキン記念演劇学校を卒業。主な出演作にテレビドラマ『ゲーム・オブ・スローンズ』シーズン4、パトリック・ヒューズ監督『ヒットマンズ・ボディガード』(2017)、クリストファー・ノーラン監督『TENET テネット』(2020)など。セレブレンニコフ監督との関係は長く、セレブレンニコフが演出した2002年のソヴレメンニク劇場での公演や2003年のテレビドラマ『Дневник убийцы(暗殺者の日記)』に出演している。
1992年、レウトフ生まれ。2013年にミハイル・シェープキン記念演劇大学を卒業。2011年、アンドレイ・ズビャギンツェフ監督『エレナの惑い』に出演して映画デビュー。世界で最も有名なライフルの設計者ミハイル・カラシニコフの生涯を描いた作品『AK-47』(2020)で主演を務め、ロシアのゴールデン・イーグル賞主演男優賞を受賞した。他の主な出演作に、『T-34 レジェンド・オブ・ウォー』(2019)、カンヌ映画祭でグランプリを受賞したユホ・クオスマネン監督『Compartment No.6』(2021)など。
ラッパー。本名ドミトリー・クズネツォフ。1993年、イルクーツク生まれ。ブリヤート共和国ウラン・ウデで育つ。2010年にモスクワ大学ジャーナリズム学部に入学するが、2015年に中退。2011年からラッパーとして活動。2018年には当局がヒップホップへの規制を強める中、自身のライブが中止されたことを受けて路上でゲリラライブを行い、逮捕された。暗い歌詞と複雑なライムを特徴としており、現在ロシアで最も重要なラッパーの一人となっている。本作のエンディングに流れる「リベンジ」も彼の曲。
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intro
インフルエンザにより現実と妄想が入り混じる。
巧みな演出により気づいたら妄想、過去を行ったり来たり。
いや、今のは妄想じゃなかった?
あれ?と考えてるうちに置いてかれてしまう。
18分の長回しも圧巻!!!!
アーノルズはせがわ(漫画家)
今、映画で起きてる事は現実?幻覚?
時間も時代もジャンルすら境界線が分からなくなる
型破りすぎな映像体験!
観客もペトロフの熱に浮かされちゃうよ!!
芸術的で刺激的なこの映画に病みつき!
あんこ(映画大好き芸人)
セレブレンニコフ監督は、ポストソ連のロシアのカオス
無遠慮かつエネルギッシュに、そして軽やかに描き出してきた。
本作でも、社会の混乱と人間の妄想がグロテスクにあぶり出されている。
上田洋子(ロシア文学者、「ゲンロン」代表)
脳みそがキャパオーバーでグルングルンになりました。
クローネンバーグとか、デビッド・リンチよりずっと先に行っていました。
大倉眞一郎(コピーライター/映画評論家)
現代につながるロシアの狂気と昏迷と絶望がここにある。
インフルエンザで発熱したペトロフの幻視は、ときに視点を逆転させて、
現実と虚構がグラデーションになった魔術的世界を創り出している。
貴志祐介(小説家)
ウクライナ侵攻下の今、ロシア映画。
コロナ禍の今、感染症を描く映画。
現代のロシア文学、ロシア演劇と直結する映画。
今、これほど観ておくべき映画はない。
我々は汝の隣人を愛せるのか? 試される映画だ。
水道橋博士(芸人/タレント)
プーチンのロシアとはまったく違う、
現代ロシアの本物の芸術家による混沌たるワイルドな世界。
権力者を恐れず、芸術的ヴィジョンを貫いてきた鬼才が描く、
夢幻と現実が混然と溶けあった時空間が展開する。
沼野充義(ロシア文学者)
エイゼンシュテインは好きだ。パラジャーノフは好きだ。タルコフスキーは好きだ。
でもロシアは嫌いだ。
厚いコンクリートを突き破って出現した、このド根性映画を観よ!
丸尾末広(漫画家)
story
幻覚的な長回しはソクーロフを、ブラックなユーモアはタランティーノを思わせる。
とてつもない演出だ!
Le Journal du Dimanche(仏)
アレクシス・カンピオン
狂気―映画的―過激―狂気―熱情的―狂気―美―狂気―政治的―狂気……
なんというスリルだろう!
Variety(米)
ガイ・ロッジ
驚くほど並外れたポスト・ソヴィエトのロシア像。
幻想的…刺激的……これぞ息をのむ映画作りだ。
Little White Lies(英)
マーク・アッシュ
驚異的だ!
NEW YORK MAGAZINE(米)
ビルジ・エビリ
我々の時代による、我々の時代のための、
壮大で、不穏で、自由な<パフォーマンス>。
IL MANIFESTO(伊)
クリスティナ・ピッチーノ
シュールで過酷なスペクタクル映画。
レオス・カラックス『ホーリー・モーターズ』とアレクセイ・ゲルマン『神々のたそがれ』を彷彿させるが、
完全にセレブレンニコフ自身のグルーヴだ。
猛烈に独創的で、あるときは野蛮、またあるときは思いがけず優しい。
CNN(米)
トマス・ページ
驚くほどに複雑な長回しと、何のサインもなく幻想と現実を行き来する展開。
まさしくカンヌが見せるべき野心的な叙事詩だ。
RogerEbert.com(米)
ベン・ケニスバーグ