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予告編
8月26日(金)よりBunkamuraル・シネマほか全国順次公開
新着情報
    家出した女の物語、のようである。
    synopsis
    • 彼女はどこへ向かっている? 彼女の行動の理由は?
      フランスの地方都市らしい。彼女は車を走らせている。彼女は家族を捨てて家出をしたのだろうか。海外資料にあるストーリーは「家出をした女性の物語、のようだ」という1行のみ。フランス公開時にも物語の詳細は伏せられ、展開を知らない観客が、ある真実に気づいたとき、心が動揺するほど感動したという。
    • 監督としても知られるマチュー・アマルリックの最高傑作。
      フランス映画界の名優として知られるマチュー・アマルリック。実は監督としてもトップクラスである。本格的な長編監督第一作『さすらいの女神たち』はカンヌ国際映画祭で監督賞と国際映画批評家連盟賞をダブル受賞、2017年の『バルバラ セーヌの黒いバラ』はカンヌ映画祭ある視点部門の開幕作に選ばれた。最新作となる本作は、昨年のカンヌ国際映画祭 [カンヌ・プレミア ] 部門に公式出品。今まで見たことのないストーリー・テリングに世界中のジャーナリストから大きな称賛を浴びた。アマルリック監督渾身の最高傑作と言えるだろう。
    • ミステリアスな映像と音響、まるで感情をモンタージュするように。
      現実と想像が入り混じったミステリアスな映像。あるときは映像に先んじて、あるときは映像が消えた後にも聴こえる音。バラバラのピースが一つの線につながる。そのとき浮かび上がる家族の真実。かつてないモンタージュで人間の感情を表現し切って驚嘆させるアマルリック監督の挑戦を支えたのは、セザール賞(フランス・アカデミー賞)受賞の名撮影監督クリストフ・ボーカルヌ、『ダンサー・イン・ザ・ダーク』でも知られる編集者フランソワ・ジェディジエなど監督と息のあったスタッフたち。ベートーヴェンのピアノ曲や J.J.ケイルの名曲「チェリー」などの音楽の編集もあまりに美しく、冬のフランスの風景にも目を奪われる。
    • 旬の女優ヴィッキー・クリープスのベストとも言われる演技。
      主演はポール・トーマス・アンダーソン監督の『ファントム・スレッド』や M・ナイト・シャマラン『オールド』、ミア・ハンセン =ラヴ監督の『ベルイマン島にて』などのヴィッキー・クリープス。今年のカンヌ映画祭では『Corsage(原題)』で「ある視点」部門最優秀演技賞にも輝き、今、ヨーロッパ No.1女優とも言われる彼女のベストとも言われる演技は、まさに必見。彼女は本作で2022年のセザール賞女優賞にノミネートされた。夫役には『Girl /ガール』の父親役が忘れ難いアリエ・ワルトアルテ。精悍で快活でありながら、繊細な演技でクリープスと見事な化学反応を見せている。
    彼女はどこへ向かっている? 彼女の行動の理由は?
    フランスの地方都市らしい。彼女は車を走らせている。彼女は家族を捨てて家出をしたのだろうか。海外資料にあるストーリーは「家出をした女性の物語、のようだ」という1行のみ。フランス公開時にも物語の詳細は伏せられ、展開を知らない観客が、ある真実に気づいたとき、心が動揺するほど感動したという。
    監督としても知られるマチュー・アマルリックの最高傑作。
    フランス映画界の名優として知られるマチュー・アマルリック。実は監督としてもトップクラスである。本格的な長編監督第一作『さすらいの女神たち』はカンヌ国際映画祭で監督賞と国際映画批評家連盟賞をダブル受賞、2017年の『バルバラ セーヌの黒いバラ』はカンヌ映画祭ある視点部門の開幕作に選ばれた。最新作となる本作は、昨年のカンヌ国際映画祭 [カンヌ・プレミア ] 部門に公式出品。今まで見たことのないストーリー・テリングに世界中のジャーナリストから大きな称賛を浴びた。アマルリック監督渾身の最高傑作と言えるだろう。
    ミステリアスな映像と音響、まるで感情をモンタージュするように。
    現実と想像が入り混じったミステリアスな映像。あるときは映像に先んじて、あるときは映像が消えた後にも聴こえる音。バラバラのピースが一つの線につながる。そのとき浮かび上がる家族の真実。かつてないモンタージュで人間の感情を表現し切って驚嘆させるアマルリック監督の挑戦を支えたのは、セザール賞(フランス・アカデミー賞)受賞の名撮影監督クリストフ・ボーカルヌ、『ダンサー・イン・ザ・ダーク』でも知られる編集者フランソワ・ジェディジエなど監督と息のあったスタッフたち。ベートーヴェンのピアノ曲や J.J.ケイルの名曲「チェリー」などの音楽の編集もあまりに美しく、冬のフランスの風景にも目を奪われる。
    旬の女優ヴィッキー・クリープスのベストとも言われる演技。
    主演はポール・トーマス・アンダーソン監督の『ファントム・スレッド』や M・ナイト・シャマラン『オールド』、ミア・ハンセン =ラヴ監督の『ベルイマン島にて』などのヴィッキー・クリープス。今年のカンヌ映画祭では『Corsage(原題)』で「ある視点」部門最優秀演技賞にも輝き、今、ヨーロッパ No.1女優とも言われる彼女のベストとも言われる演技は、まさに必見。彼女は本作で2022年のセザール賞女優賞にノミネートされた。夫役には『Girl /ガール』の父親役が忘れ難いアリエ・ワルトアルテ。精悍で快活でありながら、繊細な演技でクリープスと見事な化学反応を見せている。
    MATHIEU AMALRIC
    マチュー・アマルリック
    1965年、フランス・ヌイイ=シュル=セーヌ生まれ。1984年、ジョージア(グルジア)出身の名匠オタール・イオセリアーニ監督作『月の寵児たち』で映画デビュー。アルノー・デプレシャン監督作『そして僕は恋をする』(96)に主演して注目を集め、セザール賞有望若手男優賞を受賞。その後はフランス映画だけでなく『ミュンヘン』(05)、『007 慰めの報酬』(08)、『グランド・ブダペスト・ホテル』(14)など幅広い活躍で国際的な俳優として人気を得る。監督としても、1997年『スープをお飲み』でデビュー。『さすらいの女神たち』(10)でカンヌ映画祭の監督賞とFIPRESCI(国際映画批評家連盟)賞を受賞。『バルバラ セーヌの黒いバラ』(17)ではカンヌ映画祭ある視点部門開幕作品に選ばれるなど高く評価されている。
    FILMOGRAPHY
    長編監督作
    スープをお飲み|MANGE TA SOUPE   [1997]
    ウィンブルドン・スタジアム|LE STADE DE WIMBLEDON   [2001]
    さすらいの女神たち|TOURNÉE |ON TOUR   [2010]
    *カンヌ映画祭監督賞・FIPRESCI(国際映画批評家連盟)賞
    *セザール賞オリジナル脚本賞・監督賞・作品賞ノミネート
    青の寝室|LA CHAMBRE BLEUE |THE BLUE ROOM   [2014]
    *カンヌ映画祭ある視点部門出品
    *セザール賞脚色賞ノミネート
    バルバラ セーヌの黒いバラ|BARBARA |BARBARA   [2017]
    *カンヌ映画祭ある視点部門ポエティックストーリー賞
    *セザール賞オリジナル脚本賞・監督賞・作品賞ノミネート
    彼女のいない部屋|SERRE MOI FORT |HOLD ME TIGHT   [2021]
    カンヌ映画祭カンヌ・プレミア部門出品
    *セザール賞脚色賞ノミネート
    この映画のアイデアはどこから来たのですか。
    親友のローラン・ズィゼルマンが舞台演劇を作りたがっていたが、実現できなかった。ある夜、彼は本を僕にくれた。プロジェクトへのお別れのつもりだったんだろう、クロディーヌ・ガレアが2003年に書いた戯曲「Je reviens de loin」だった。ガレアのことは知らなかった。電車の中で読んだんだが、気づいたら赤ん坊のように泣きじゃくっていた。そんなことは長い間なかった。ジャケットで顔を隠さないといけないくらいだった。『バルバラ セーヌの黒いバラ』以来、僕は言葉の表面的な意味に取り憑かれてしまって、自分には決してわからないのだと思っていたが、ガレアが書いたものの中に、ある裂け目のようなもの、手の届きそうなものを感じた。つまり、このメロドラマがこの映画の始まりになった。
    参考にすべき作品が頭にありましたか。
    映画を見たいという気持ちが起こった。これはいい兆候なんだ。この物語には涙と幻影があるので、僕は最初にメロドラマをたくさん見た。ポール・ヴェキアリの『Corps à cœur』、いうまでもなくダグラス・サーク、ニコラス・レイ、オリヴェイラの『家路』に出てくるピコリ、ジャームッシュ『ブロークン・フラワーズ』のビル・マーレイ、パニョルも……。それから、心理的な幻想映画。日本映画、ブニュエル、『幽霊と未亡人』、レネ(いつだってレネさ!)、『6才のボクが、大人になるまで。』、ヒッチコック……。それから、ローラ・カシシュケの小説、ソフィ・カルの曲折に富んだ作品群、ドラマ『LEFTOVERS/ 残された世界』、ピクサー映画『カールじいさんの空飛ぶ家』や『リメンバー・ミー』……たくさんありすぎて忘れちゃったな!中には駄作もあったよ(気づきにくい落とし穴の場所を知っておくことは大事だから)。
    それから、フランシス・フォード・コッポラの『雨のなかの女』がある。去る女。悲劇的でありながら生き生きとしたロードムービーだ。クラリスが映画館から出るところを撮ろうとさえ考えた。ゴダールの『女と男のいる舗道』で、アンナ・カリーナがドライヤーの『裁かるるジャンヌ』のファルコネッティ(ジャンヌ・ダルク)を見て涙したのと同じように、彼女は電話ボックスの場面(シャーリー・ナイトが夫に電話をかけたところ)で涙しただろう。ただ『雨のなかの女』はすでにこの映画に吸収されているから、これ以上必要ないと思い、そのシーンは撮らなかったんだ。『雨のなかの女』は撮影監督のクリストフ・ボーカルヌに見せた唯一の映画だ。この映画の映像、作品の肌理のようなものは『雨のなかの女』から来ている。あの長くて茶色いコートも。あれを着ていると彼女は守られているように感じるみたいだね。コートは衣装のカロリーヌ・スピートが見つけてくれた。『雨のなかの女』のコートだ。ちょっと柔らかい材質で、表革製でなくスエード革製だけど。
    どの時点でヴィッキー・クリープスの起用を思いついたのですか。
    ブルターニュでノートに脚本を書きはじめてから9日目だ。その新しい家に来て、僕は一晩中眠れなかった。部屋にはテーブルとベッド、それに椅子が一つしかなかった。ヴィッキーはある瞬間、突然僕を「訪れ」たんだ。本当にそうとしか言いようがない……(ポール・トーマス・アンダーソンの『ファントム・スレッド』をその少し前に見ていた影響はあっただろうが)。彼女のマネージャーに電話したところ、彼女は3週間後にパリに来ると言われた。僕たちは対面し、僕は彼女に原作のテキストを渡した。まだ脚本は完成していなかったから。翌日、彼女から連絡があり再び会いに行った。庭先で会ったんだが、彼女はもうスーツケースを持っていたよ。その時すでに、ヴィッキーが演じるかどうかの問題ではなくなっていた。その段階はすでに終わっていたんだ。
    ヴィッキーと僕はいつも「私たちの映画」と言っていた。こんな一体感を感じたのは初めてだ。また今回は、恋人や元恋人と一緒ではない初めての映画でもある。他人の窓を通して作った映画……同じ欲望の共有で結ばれた、赤く燃えるような連帯。仕事の中、ともに映画を作っていく中でだけ、高揚していく連帯。それはとても強いもので、全てのカットに現れていると思う。僕らの間の意思の一致は、最もエロティックなものだった。
    本作は音楽と強い結びつきを持っていますね。シナリオもピアノに関係していますし、サウンドトラックも充実しています。この映画の音楽性や音響編集に関してはどうですか。
    そうなんだ。ピアノはガレアの戯曲にも登場する。誰もが知る通りピアノという楽器には、親の子供に対する深刻な横暴とフラストレーションがいっぱいに詰まってるよね(笑)。
    クロディーヌ・ガレアのテキストは、スペリングやセリフの配置、イタリック体表記の使用、声の重ね合いなどに工夫を凝らしている。僕は声の使い方をさまざまに変えて、いくつものバージョンを撮ろうとした。ヴィッキーは高い声で独り言、あるいは心の中の言葉を話す。時には僕が彼女にフレーズを囁き、セリフの中に入れてもらった。音響技師のオリヴィエ・モーヴザンと僕は撮影時、大部分の声をオフ・スクリーンで録音した。その音色の質感、エコー、波紋こそが、この映画の感情、物語、アクションに他ならないと、その後ジェディジエ、音響編集のニコラ・モロー、ミキサーのステファヌ・ティエボーたちと話した。音響と役者の動作とは、同じヴァイブを持っているように僕には思えた。ピアノの鍵盤を叩く空気と、自動車の後部座席を倒すときの空気とは、同じような響きを持っているんだ。僕は役者に具体的な動作を伝えようと心がけた。差し錠のささった扉を閉める、ドリーム・キャッチャーを撫でる、ピアノが音を立てる、手帳を燃やすなど……。
    言うまでもないけど、音楽家と暮らしたこと、ドキュメンタリーのために単独で音楽の仕事を撮 影する機 会が 増えたこと、僕にはもうセリフは書けないと分かったこと——セリフはいつも撮影直前の最後の瞬間に浮かんでくるか、役者自身によってアドリブで生まれる——、それらが 果たして実 際に僕自身の能 力を鍛え、変 化させたのか…。そう聞かれれば、沈黙するしかないけど(笑)
    彼女の彷徨を通して、一人の女性の孤独を撮りたいと思ったのはなぜですか。
    一人でドライブするのはいいものさ……車の動きは思考の動きと連動する。だけど問題は乗る人間の方じゃなく、車の方だった!最近の車で撮りたくなるようなものを見つけるのは簡単ではないね。
    孤独な女性ということに関していえば……僕は今回の作品で少し前進できたと思っている。この作品は女性的な魅力を見せる映画でもなければ少女の部屋についての話でもない。女性への賛美でもない。にも関わらず、もっと確かなものがそこにある……。不思議だな。クラリスとは、僕自身なのか?それとも僕は誰か他の存在なのか?あらゆる解釈に開かれているんだ。
    VICKY KRIEPS
    クラリス:ヴィッキー・クリープス
    1983年、ルクセンブルク生まれ。ルクセンブルク国立音楽学校で学んだ後、南アフリカの小学校で社会活動に参加。その後チューリッヒ芸術大学で舞台芸術を学ぶ。在学中から舞台女優として活躍し、卒業後は多くの映画に出演。アカデミー賞作品賞を受賞したポール・トーマス・アンダーソン監督の『ファントム・スレッド』(17)でダニエル・デイ=ルイスと共演し、世界的に注目された。その他の主な作品にラウル・ペック監督『マルクス・エンゲルス』(17)、ダン・フリードキン監督『最後のフェルメール ナチスを欺いた画家』(19)、M・ナイト・シャマラン監督『オールド』(21)、ミア・ハンセン=ラヴ監督『ベルイマン島にて』(21)など。フランス語、ドイツ語、英語を流暢に話し、2022年のカンヌ映画祭では主演作が3作も公式部門で上映され、マリー・クロイツァー監督がオーストリア皇后エリーザベトを大胆な視点で描いた、『Corsage』(原題)では「ある視点」部門最優秀演技賞に輝くなど、今ヨーロッパでもっとも注目を集める女優の1人。本作ではセザール賞最優秀女優賞にノミネートされている。
    ARIEH WORTHALTER
    マルク:アリエ・ワルトアルテ
    1985年、フランス・パリ生まれ。ベルギー国立視覚芸術高等学院(INSAS)で舞台芸術を学んだ後、ベルギーやフランスで映画俳優として活躍。バレリーナを目指すトランスジェンダーの少女を描いた『Girl /ガール』(18)で、娘の夢を支える父親役で強い印象を残す。その他の出演作にエリ・ワジュマン監督『アナーキスト 愛と革命の時代』(15)、ジェームズ・ワトキンス監督『フレンチ・ラン』(16)など。最新作にセドリック・カーン監督『Le Procès Goldman(原題)』がある。2019年に『Girl /ガール』、2020年に『Duelles(原題)』でマグリット賞(ベルギー・アカデミー賞)最優秀助演男優賞を連続受賞。本作では2022年同賞最優秀男優賞にもノミネートされた。
    「クラヴサン曲集第1巻」
    ジャン=フィリップ・ラモー Jean-Philippe Rameau
    「エリーゼのために」
    ルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェン Ludwig Van Beethoven
    「ピアノソナタ第1番」
    ルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェン Ludwig Van Beethoven
    「エチュード1番 5本の指のために(チェルニー氏による)」
    クロード・ドビュッシー Claude Debussy
    「子供の領分~グラドゥス・アド・パルナッスム博士」
    クロード・ドビュッシー Claude Debussy
    「チェリー」
    J・J・ケイル J. J. Cale
    「世の終わりのための四重奏曲 5楽章イエスの永遠性への讃歌」
    オリヴィエ・メシアン Olivier Messaien
    「I'LL BE WAITING」
    グレイ&パーン Gray & Pearn
    「ガヴォット」
    ジャン=フィリップ・ラモー Jean-Philippe Rameau
    「LET'S GET AWAY」
    サラ・フォッグ Sarah Fogg
    「小荘厳ミサ曲 キリエ」
    ジョアキーノ・ロッシーニ Gioachino Rossini
    「プレリュード第7番 Op.23-7 ハ短調」
    セルゲイ・ラフマニノフ Sergueï Rachmaninov
    「ピアノソナタ ハ長調 K. 545」
    ウォルフガング・アマデウス・モーツァルト Wolfagang Amadeus Mozart
    「ワルツ第6番 変ニ長調 作品64-1(子犬のワルツ)」
    フレデリック・ショパン Frédéric Chopin
    「ピアノ協奏曲第1番ホ短調 Op.11」
    フレデリック・ショパン Frédéric Chopin
    「ピアノ協奏曲 ト長調 第2楽章 アダージョ・アッサイ」
    モーリス・ラヴェル Maurice Ravel
    「夜のガスパール オンディーヌ」
    モーリス・ラヴェル Maurice Ravel
    「YOU LIKE ME」
    ムーチョ・デニーロ Mucho Deniro
    「OPEN HEART SURGERY」
    ブライアン・ジョーンズタウン・マサカー The Brian Jonestown Massacre
    「OÙ VAS TU PETIT GARÇON」
    ブリジット・フォンテーヌ Brigitte Fontaine
    「ピアノ小品第3番 Op.19」
    アルノルト・シェーンベルク Arnold Schönberg
    「ムジカ・リチェルカータ 第1番」
    ジェルジュ・リゲティ György Ligeti
    ひとりの女性がふと家を出て車で走り出す。
    あれよあれよと言う間に、生と死と、過去と未来とをめぐる無限の物語が構築されていく。
    驚くべき映画の冒険!
    黒沢清(映画監督)
    先行する、追いかける、音と映像の融合と、切なすぎる感情が見事にマッチしている稀有な作品。
    新しい映画表現の、まだ見ぬ未来への希望を感じた。
    永瀬正敏(俳優)
    一体これほどまでに、ぼくたちの耳を刺激する映画がかつて存在しただろうか?
    強烈なモンタージュが、映画の時空間を無尽に伸縮させて、
    多元的な視聴覚の層をこの映画は惜しむことなく創造し盛り込んでいるといっても過言ではないだろう。
    森永泰弘(サウンドデザイナー)
    同人物とは思えない程、喜怒哀楽のありとあらゆる感情と精神を見事に表現しきる
    女優ヴィッキー・クリープスの名演に心を打たれました。
    物語のキーとなるFの音を是非お聴き逃しなく!
    河村尚子(ピアニスト)
    ヴィッキー・クリープスは雪のように繊細に見える。
    幼さを残した声、美しく細やかな表情と滑らかな指の動きは、
    景色を操ることも光を奪うこともできてしまいそう。
    その唯一無二な佇まいに魅了され、私は彼女が大好きです。
    霧島れいか(女優)
    彼女が街中でふと足を止める。まるで時間も止まるようだ。
    いや、時間はまっすぐに流れて二度と戻らないものか。
    となると、この映画は彼女とともに、なんとかその流れに抗おうとしているのかもしれない。
    流れに逆らう彼女の顔がかすかに震える。その震えから目が離せない。
    そして、彼女が再び流れに身を委ねるときに袖を通すある服が、とても似合っていて、いい。
    三宅唱(映画監督)
    自分がいなくなることで、いなくなった人を生き返らせる。
    彼女にしか見えない頭の中の景色、実としての景色。過去と未来。
    その境があまりに曖昧なので、私はひたすらに感じ、考える。
    彼女の悲しみが体に移ってくる。二度と会えない彼らにまた会いたい。
    見終わってすぐなのに、何度も見たくなってしまう映画です。
    高山なおみ(料理家・文筆家)
    すべてが終わった時、冒頭のセリフが鮮明によみがえり、激しく心が震えた。
    この重さ、この覚悟を私は受け止めることができるのだろうか。
    金子稚子(終活ジャーナリスト、ライフ・ターミナル・ネットワーク代表)
    交わらない二つの時間が鏡のように進んでゆく
    反復し合う日常に、現在を見失う
    「待つ」ことに終わりの来ない苦しみとは、
    こういうものなのかもしれない、と想像し胸が締めつけられる
    けれど声は、交わらないはずの時空間を越えていく力を持っている、
    と教えてくれた映画でもあった
    声が届くとき、どちらの現在にも、穏やかな時間が流れていた
    小森はるか(映像作家)
    人間は「物語」で出来ているんだと思った。
    ある体験が主人公から過去も未来も奪ったとしても、
    慣れ親しんだ音や手の感触から「物語」を紡ぎ始めることができる。
    時々間違ったとしても力強い「物語」に人間は、なる。
    松井周(劇作家・演出家・小説家)
    物語を組み立て直す――それは過去を破り捨てることではなく、
    おぼろな「あの日」に耳を澄ますこと。
    その場所へと続く道は、あまりに孤独で果てしない。
    確かに「あの日」に触れているのだと、気付くまで。
    佐藤慧(認定NPO法人Dialogue for People代表/フォトジャーナリスト/「ファインダー越しの3.11」著者)
    何も言えないし、何も言いたくない。
    この物語の真相と感慨は、心の内で抱きしめていたい。
    オープンシェアの時代に逆行する、密やかで驚くべき秀作。
    SYO(物書き)
    これは能のような映画だ。能は「思い出」の芸能だ。
    思い出とは、思い出すことではない。
    身に残った思い・・が溢れ出て・・しまうことをいう。
    そして、溢れ出た思い出も「わたし」の一部なのである。
    安田登(能楽師・下掛宝生流)
    喪失・断絶をいざ経験すると、
    自分自身わけもわからず部屋をぐるぐる回っていた事がある。
    走り始めた車は本当に進んでいるのか?
    ピアノの旋律が記憶と記録を縫い合わせ、記憶の色彩が現実を染めて記録の中へ溶けていく。
    記録と記憶の隙間に存在する果てのない断絶という谷底を光の絵筆で描き、
    争う事のできない運命との距離を測り直す。
    滞留し沈澱していく行き場のない思いを、視線の旋律へ映画は変えて走り出す。
    甫木元空(映画監督、ミュージシャン)
    何も聞かずにクラリスの望みに応える人たちがいる。
    マチュー・アマルリック監督もまた、ないはずのカフェオレボウルを何とか探し出してくるように、
    この映画を作った。クラリスが望むなら、物語だって形にする。
    これ以上ないほどの美しい光と音で。
    杉田協士(映画監督)
    人に忘れてもらうため、
    人を忘れるため、
    人は旅に出るのだと感じました。
    前向きな旅ほど、おそらく。
    板垣巴留(漫画家)
    (順不同・敬称略)