タイ東北部のある村。
腎臓の病に冒され、死を間近にしたブンミおじさんは、ジェンとトンを呼び寄せる。
ジェンは、ブンミの死んだ妻の妹だ。
夜。ブンミとジェン、トンが夕食を囲んでいると、
そこにふっと、女性の姿が現れる。19年前に死んだブンミの妻、フエイだ。
フエイはブンミの病気が心配でやってきたのだ。フエイの姿は42歳の時のまま。
ブンミたちは最初こそ驚くものの、懐かしさから皆で語らいはじめる。
しばらくすると物音がして階段を何か黒いものが上がってきた。
数年前に行方がわからなくなった息子ブンソンが、姿を変えて戻ってきたのだ。
愛するものたちがブンミのもとに集まってきた。
いよいよ行く時が近づいてきたのだ。
ブンミは前世を思い出す。
ある日、ついにブンミはフエイ、ジェン、トンとともに森に入っていく。
奥へ奥へと森をすすみ、やがて4人は洞窟の中へ。
真っ暗な洞窟の中。
岩がまるで宇宙の星のように輝くのを見ているうちに、
ブンミはここで生まれたことを思い出し、自分の前世に思いを馳せながら、
つぶやくように話しはじめた……。
セーン・アルン寺の僧 プラ・シリヤッティヴェティー著
「前世を思い出せる男」より着想を得た