驚くべき長回しショット、めくるめく場面転換、ロシア社会への強烈な風刺、型破りな芸術的感性、刺激的なアクション、息を呑むほどのパワー。2021年カンヌ国際映画祭で、名だたる批評家を驚かせ、フランス映画高等技術委員会賞に輝いた本作。監督は、ロシア演劇界の鬼才で映画監督としても世界が注目する『LETO-レト-』のキリル・セレブレンニコフ。原作は、強烈なブラックユーモアでセンセーションを巻き起こしたベストセラー小説だ。2017年に国からの演劇予算横領の疑いで自宅軟禁状態となったセレブレンニコフが、軟禁という不条理な状況下で脚本を書き、闇に隠れて撮影したという本作。現代ロシアの迷宮を疾走し、映画の迷宮を疾走する2022年の必見作!


2004年のロシア、エカテリンブルク。インフルエンザが流行している。ペトロフは高熱にうなされ、妄想と現実の間を行ったり来たり。やがてその妄想は、まだ国がソヴィエトだった子供時代の記憶へと回帰し…。





































私は演出家の目で小説を読みました。素晴らしいとは思いましたが、出来事の多くが登場人物の想像の中で起きるので、正直なところ、どう舞台にすればいいのか全くわかりませんでした。でも、映画になったら凄いものになると感じました。物語の舞台になっている歴史的時期といい、ヴィヴィッドで直感に響く映像になるだろうと思ったからです。(セミョーン・セルジン)