巡礼の約束 2020年2月8日(土)より岩波ホールほか全国順次ロードショー!

はるか昔から人々が祈り 歩きつづけた巡礼の道。いま妻から夫へ 父から息子へ過去をのりこえ こころをつなぐ。

第21回上海国際映画祭 審査員大賞・最優秀脚本賞

予告編

予告編

解 説

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妻から夫へ、父から息子へ。
受け渡され、継がれていく巡礼の旅。

突然、聖地ラサへの巡礼にでると決めた妻。いったいなぜ?
夫は旅立った妻の後を追った……。

日本初のチベット人監督の劇場公開作と注目された
『草原の河』のソンタルジャ監督最新作『巡礼の約束』。

チベットの圧倒的な風景のもと、
巡礼の約束をひたすらに果たそうとする
家族それぞれの想いを描き、
往年の名作『山の郵便配達』を彷彿とさせる物語である。

血のつながらぬ父と息子、
一頭の仔ロバが
歩きつづける巡礼の旅。

ある出来事から、前夫との約束を果たそうと巡礼にでる妻ウォマ。その妻を心配し、後を追ってくる夫ロルジェ。こころを閉ざしていた前夫との息子ノルウも母に会いにやってくるのだが……。
ウォマの意志を引き継ぐ、血のつながらぬ父と息子。ふたりはある日、母を亡くした一頭の仔ロバと出会い、ともに聖地ラサへと巡礼の道を歩きつづける。
夫役には、この映画の舞台であるチベット高原の東にあるギャロン出身の国際的歌手ヨンジョンジャ。民族衣装も美しい妻役は人気女優ニマソンソン。多くの候補者の中から「目」の魅力で選ばれた息子役スィチョクジャ、そして仔ロバの名演も忘れがたい。

死者とともに生きる
チベットの祈りのこころ。
迷える時代に新鮮な感動をもたらす名作。

本作を企画したのは、夫役も演じるチベット人歌手ヨンジョンジャ。世界的ダンサーであるヤン・リーピンの舞台「蔵謎」のプロデューサーでもあり、チベット文化の普及・継承を担っている。監督は、『草原の河』の感動も記憶に新しいソンタルジャ。共同脚本はチベットを代表する作家タシダワが手がけている。
悲しみ、後悔、嫉妬、それらを超えようとする夫と妻、なさぬ仲の父と息子に生まれる絆。チベット仏教の聖地ラサへの五体投地の巡礼から、死者とともに生きるチベットの祈りのこころが伝わってくる。誰もが道に迷う現代に、新鮮な感動が風のように胸を吹き抜けていく名作である。

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物 語

突然、聖地ラサへの巡礼にでると決めた妻。
いったいなぜ?
夫は旅立った妻の後を追った……。

山あいの村で、夫のロルジェ、ロルジェの父と暮らすウォマ。
病院である事実を告げられたウォマは、聖地ラサへの五体投地での巡礼旅に、一人で行くと決意する。半年以上もかかる巡礼の旅に、初めは反対していたロルジェだが、ウォマの固い決意にラサ巡礼を受け入れる。しかし妻の決意にはある秘密があった。

旅に出た妻を追ってくる夫。そして妻の実家に預けられ、心を閉ざしていた前夫との息子もやってきた。
後悔、嫉妬、わだかまりを抱えながらも、少しずつ結びついていく三人。
しかし、そんなある日、ウォマがついに倒れてしまう…

キャスト

ヨンジョンジャ

プロデューサー|ロルジェ役

ヨンジョンジャ

中国全土、そして世界で知られる歌手、チベット文化の普及・継承を担う芸術家。来日公演も話題を呼んだ国際的ダンサーヤン・リーピンの舞台「クラナゾ」もプロデュース。自身の故郷、ギャロンの人々のこころを描くために映画初プロデュース、初主演。

1969年、映画冒頭の舞台となるギャロン地域、四川省アバ・チベット族チャン族自治州出身。チベット文化圏、中国全土にとどまらず、世界的に知られるチベット人歌手。
2001年にリリースしたアルバム《高原紅(Red Plateau)》が大ヒットし、中国全土に名前が知れ渡る。以来、国内外で多数の公演を行う。これまでヨンジョンジャのアルバムは、中国やアメリカなど多数の音楽賞に輝いている。 また、自らの歌手活動だけでなく、2011年には国際的ダンサーのヤン・リーピンが芸術監督と主演を務めた歌舞劇「蔵謎」をプロデュースし、日本でも東京・Bunkamuraオーチャードホールほか全11 公演を大成功させている。 本作は、自身の故郷であるギャロンの人々の文化、暮らし、こころを、映画で描きたいという願いから自ら企画し、有名な作家であるタシダワに脚本を、国際的に評価されるソンタルジャに監督を依頼。初めて映画をプロデュースし、初めて映画に主演した。

ニマソンソン

ウォマ役

ニマソンソン

ギャロン地域、四川省アバ・チベット族チャン族自治州出身。国立の名門演劇大学を卒業...

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スィチョクジャ

ノルウ役

スィチョクジャ

青海省海南チベット族自治州同德県秀麻郷老虎村出身。現在は同徳県宗日寄宿学校で学んでいる...

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ジンバ

ダンダル(旅の途中でロルジェを助ける家族の父親)

ジンバ

詩人としても活躍するチベット人俳優。北京電影学院で演技を学ぶ。2014年以降、数々の映画に出演...

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スタッフ

ソンタルジャ

監督|共同脚本

ソンタルジャ

美術家、撮影監督の経験から、映像で物語る才能をさらに成熟させる。
チベット映画人第1世代の重要な監督であり、世界中が注目する存在。

1973年5月29日、「草原のチベット」とも呼ばれるチベット東北部アムド地方、青海省海南チベット族自治州の同徳県に生まれ、牧畜民の中で育つ。幼い頃より、教師であった父に伝統的なチベット仏教画“タンカ”を教えられ、美術の才能を開花させ、青海師範大学の美術科を卒業。小学校の美術教師や美術館のキュレーターとして働いた後、北京電影学院撮影科で学び、ペマ・ツェテン作品などの美術監督や撮影監督として活動を始める。2011年、初監督作『陽に灼けた道』を発表。バンクーバー国際映画祭、ロンドン映画祭をはじめ世界中で高く評価された。長編第二作の『草原の河』はベルリン国際映画祭で上映され、上海国際映画祭で史上最年少の女優賞を獲得し、日本で初めて商業公開されたチベット人監督となり注目を集めた。また本作の制作会社としてクレジットされているガルーダ・フィルム(Garuda Film & TV Culture Communication Co., Ltd.)はソンタルジャ監督が設立。チベット地域で最大の映像撮影・制作の拠点であり、映画及びドラマの脚本コンテストや映像照明技術研修を行うなど、本作のスタッフも含め多くの人材を育成している。

◎ フィルモグラフィー *( )内は中国語題/英語題
2011陽に灼けた道(太阳总在左边/The Sun Beaten Path)
2015草原の河(河/River)
2018巡礼の約束(阿拉姜色/Ala Changso)

共同脚本

タシダワ

現代チベット文学の担い手として名高い作家。日本でも、小説が『風馬の耀き』に収録されており...

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撮影監督

ワン・ウェイホア

北京電影学院撮影科出身。これまでの作品に、プサン国際映画祭ニューカレンツ賞受賞作『神水の中のナイフ』...

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作曲|音楽

ヤン・ヨン

交響楽、ワールドミュージック、エレクトリック・ポップ・ミュージックを融合させるミュージシャンとして...

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エンディング曲『こころの痛み』歌唱

ワンモ

ダライ・ラマ6世の詩を歌った民謡を、ヨンジョンジャとヤン・ヨンが編曲したエンディング曲を歌うワンモは...

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キーワード

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聖地ラサへの巡礼

「巡礼」とは、遠方にある聖地や聖域に参詣する宗教的行動で、世界の多くの宗教が巡礼を重要な宗教儀礼と見なしている。イスラム教のメッカ巡礼、キリスト教のサンティアゴ・デ・コンポステーラへの巡礼、ユダヤ教のエルサレム嘆きの壁への巡礼、ヒンドゥー教のガンジス河への巡礼がよく知られ、日本では四国八十八箇所の巡礼が仏教の巡礼として多くの人に知られている。
チベット仏教における巡礼で有名なものが、聖地ラサへの巡礼と、聖なる山・カイラス山への巡礼。ラサはチベット語で「神の地=聖なる地」を意味し、チベットの人々が一生に一度は巡礼することを夢に見るチベット仏教の聖地で、「ポタラ宮」は1994年にユネスコの世界遺産に「ラサのポタラ宮の歴史的遺跡群」として登録され、2000年に「ジョカン寺」が追加登録、夏の離宮「ノンブリンカ」が2001年に追加登録された。

五体投地

五体投地とは、両手・両膝・額(五体)を地面に投げ伏して祈る、仏教でもっとも丁寧な礼拝の方法。チベットには今も聖地巡礼を、五体投地で礼拝しながら、長い時間をかけて進んでいく人々がいる。

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ギャロン

チベット高原の東端に位置し、四川省北部のアバ・チベット族チャン族自治州とカンゼ・チベット族自治州の山岳地帯のうち、ギャロン語が話されている地域。ギャロンの人々が暮らす村は山肌に沿って建てられた石造りの建築で屋上にバルコニーのある伝統家屋が特徴的。またギャロンの女性たちは美しい伝統衣装で知られており、とくに頭飾りは独特である。「中国でもっとも美しい村」にも選ばれた丹巴ダンバという村は、美人が多いということでも有名で「美人谷」と呼ばれている。

ギャロン地図
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ニマソンソン

ウォマ役

ニマソンソン

ギャロン地域、四川省アバ・チベット族チャン族自治州出身。国立の演劇大学の名門、中央戯劇学院を卒業。中国国内で活躍中。これまでの映画出演作に、『迭部恋歌(Two Love Songs)』(2013,監督:張文〈Zhang Wen〉)、『北漂鱼(A Style Of MeninBeijing)』(2013,監督:全治林〈Quan Zhilin〉)、『红丝带(The Red Ribbon)』(2016,監督:达杰丁增〈Dargye Tenzin〉)、『云上石头城(Hometown on the Cloud)』(2017,監督:張春和〈Zhang Chunhe〉)。本作の演技で、中国ヤングジェネレーション映画祭およびシルクロード映画祭で最優秀女優賞を受賞。

スィチョクジャ

ノルウ役

スィチョクジャ

青海省海南チベット族自治州同德県秀麻郷老虎村出身。現在は同徳県宗日寄宿学校で学んでいる。小学4年生(11歳)。2017年5月に同德県にある3つの学校の同学年1000人以上の中からノルウ役に選ばれた。

ジンバ

ダンダル(旅の途中でロルジェを助ける家族の父親)

ジンバ

詩人としても活躍するチベット人俳優。北京電影学院で演技を学ぶ。2014年以降、数々の映画に出演。2016年のチャン・ヤン監督、タシダワ原作の『Soul on a String』(日本未公開)に主演し、台湾金馬奨の新人俳優賞にノミネートされ、2018年のペマ・ツェテン監督作『轢き殺された羊(英語題:Jinpa)』(東京フィルメックスで上映)でも強い印象を残した。

共同脚本

タシダワ

現代チベット文学の担い手として名高い作家。日本でも、小説が『風馬の耀き』(牧田英二訳JICC出版局1991)に収録されており、日本で公開された映画『チベットの女イシの生涯』(2000)の原作者でもある。1959年生まれ。父親はカム(東チベット)出身のチベット族、母親は重慶出身の漢族。幼少年期を重慶で過ごし、漢語による教育を受けて育つ。1979年より作家活動を始め、ラサの若者たちの生態や、ルーツであるカムの人々の生き様を描くとともに、ラテンアメリカのマジックリアリズムの手法を取り入れたスタイルでも高く評価されて、1980年代半ばには少数民族作家の旗手として脚光をあびる。その他の映画原作にチャン・ヤン監督の『Soul on a String』(2016)など、脚本には「ハムレット」を古代チベットにうつした『Prince of the Himalayas』(2006)などがある。

*名前の表記について
『風馬の耀き』での紹介時では「ザシダワ」と表記されていたが、発音としてはチベット語でも漢語でも「タシ」が近いため、今回は「タシダワ」と表記。

撮影監督

ワン・ウェイホア

北京電影学院撮影科出身。これまでの作品に、プサン国際映画祭ニューカレンツ賞受賞作『神水の中のナイフ』(2016,監督:ワン・シュエボー王学博〈Wang Xuebo〉,東京フィルメックスで上映)、台湾金馬奨最優秀撮影賞ノミネート作『Free and Easy』(2017,監督:耿軍〈Geng Jun〉)、カンヌ国際映画祭〈ある視点部門〉上映作『Walking Past the Future』(2017,監督:李睿珺〈Li Ruijun〉)など国際的に評価の高い作品を多数手がけているカメラマン。

作曲|音楽

ヤン・ヨン

交響楽、ワールドミュージック、エレクトリック・ポップ・ミュージックを融合させるミュージシャンとして人気が高い。本作のプロデューサーで主演のヨンジョンジャと舞台「蔵謎」を手がけ、それに主演した国際的ダンサーであるヤン・リーピンのバレエ「Peacock-Winter」も作曲し、モスクワ国際バレエコンクール振付部門で音楽の金賞を受賞。ヨンジョンジャが2017年にリリースしたアルバム「天唱・仓央嘉措/The Voice of Nature-Tshang Yang Gya Tsho」のすべての曲も作曲している。映画音楽は本作が初めて。

エンディング曲『こころの痛み』歌唱

ワンモ

ダライ・ラマ6世(ツァンヤンギャツォ)の詩を歌った民謡を、ヨンジョンジャとヤン・ヨンが編曲したエンディング曲を歌うワンモは、歌はヨンジョンジャに、ダンスはヤン・リーピンに師事し、2009年にCCTVの歌番組でチャンピオンとなる。2017年には雪域音楽受賞式で最優秀女性歌手を受賞、ヨンジョンジャのアルバム「天唱・仓央嘉措/ The Voice of Nature-Tshang Yang Gya Tsho」に参加し、この曲を歌っている。