pagetop

フォンターナ広場─イタリアの陰謀

イタリアはこの日、青春と決別した。

12月21日(土)、シネマート新宿にて、真実のロードショー

前売り特典でポストカードをプレゼント!

イントロダクション

歴史が語り継ぐ<ミラノの悲劇>を名匠ジョルダーナ監督がついに映画化!

1969年12月12日16時37分。多くの若者が、世界を変えようとした時代に、事件はおこった。

学生運動の波が高まる69年のイタリア。かの有名なミラノの大聖堂ドゥオモの裏にあるフォンターナ広場で、全国農業銀行が何者かによって爆破された。イタリア最大の未解決事件<フォンターナ広場爆破事件>。事件から44年後の今も、その真犯人は明らかにされていない。多くの若者が理想を信じ、世界を変えようとした時代は、この事件で終わった。犯人はいったい誰だったのか?操っていたのは誰だったのか?イタリア政府はすべてを知っていたのではないか? 東西冷戦のさなか、事件を闇に葬った巨大な力の前に、イタリアは青春に決別した。

一瞬たりとも見逃せない圧倒的な映像の力によって、実際におきたイタリア最大の未解決事件の真相を描く。

監督は、大ヒット作『輝ける青春』の名匠マルコ・トゥリオ・ジョルダーナ。まだ十代の青年だった当時、この現場に居合せ、事件を目撃して以来いつか必ず映画にしたいと願いつづけ、満を持して映画化に取り組んだ。その演出は、全編緊迫感に溢れ、一瞬たりとも見逃せない映像の力はまさに圧倒的。同時に、巨大な力に翻弄されながらも真実を見いだそうとする人間の葛藤、信念、希望、絶望、そして愛を描きり、深い感銘を与える。キャストには、ヴァレリオ・マスタンドレア、ピエルフランチェスコ・ファヴィーノという脂ののった実力派。ファヴィーノはこの年の俳優賞を独占している。二人の妻を演じる美しきラウラ・キアッティ、ミケーラ・チェスコン、さらに名優オメーロ・アントヌッティ、現代イタリア映画に欠かせないルイージ・ロカーショなど錚々たる役者陣の演技も必見だ。

ストーリー

一人は容疑者。一人は警視。二人を繋いだのは、信頼か。それとも悔恨だったのか。

1969年12月12日16時37分。ミラノ。フォンターナ広場にある全国農業銀行が爆破された。死者17人、負傷者88人。ミラノ警察は左翼の犯行を疑い、アナキストたちを次々に連行。彼らのリーダー的存在である鉄道員ピネッリも容疑者とされた。だが現場の指揮をとるカラブレージ警視は、ピネッリの人間性を信頼し、その犯行を簡単には信じられなかった。そして、ある夜、思いがけぬアクシデントが起こる。ピネッリが、取調中に転落死を遂げたのだ。自殺か、事故死か、殺人か。ピネッリの妻は夫の無実を信じ、警察を訴える。カラブレージ警視は裁判でその矢面に立たされながらも、次第に事件の真相に近づいていくが、そこには知ってはならない真実があった……。

キャスト

  • ヴァレリオ・マスタンドレア

    (ルイージ・カラブレージ警視)

    1972年2月14日、ローマ生まれ。舞台俳優としてキャリアをスタートさせ、1994年に『映画泥棒』でスクリーンデビュー。『はじめての大切なもの』でダヴィッド・ディ・ドナテッロ賞主演男優賞を受賞。
    コメディから重厚な作品まで、幅広い演技力が高く評価され、近年最も出演が望まれる人気俳優となっている。本作ではドナテッロ賞主演男優賞にノミネートされるも惜しくも受賞には至らず。しかし翌年には『綱渡り』でドナテッロ賞主演男優賞に再び輝いている。

    主な出演作:

    1994映画泥棒(TV 放映のみ)
    2000ラ・カルボナーラ(イタリア映画祭2002)
    2001明日、陽はふたたび︱V- マックス(DVD 発売のみ)
    2006ナポレオンの愛人(DVD 発売のみ)
    2007あのバスを止めろ(DVD 発売のみ)
    2008見わたすかぎり人生(イタリア映画祭2009&DVD 発売)
    2009ジュリアは夕べに出かけない(イタリア映画祭2010)
    2010はじめての大切なもの(イタリア映画祭2011)
    2011錆び(イタリア映画祭2012)
    2012司令官とコウノトリ(イタリア映画祭2013)、家の主たち(イタリア映画祭2013)︱綱渡り(イタリア映画祭2013)︱フォンターナ広場―イタリアの陰謀

  • ピエルフランチェスコ・ファヴィーノ

    (鉄道員、アナキスト ジュゼッペ・ピネッリ)

    1969年8月24日、ローマ生まれ。数多くの舞台で活躍した後、TV・映画にも活動を広げる。2001年、ガブリエレ・ムッチーノ監督の大ヒット作『最後のキス』で一躍人気俳優となり、近年ではスパイク・リー監督の『セントアンナの奇跡』、「ダ・ヴィンチ・コード」シリーズの第2弾『天使と悪魔』(ロン・ハワード監督) など国際的に活躍。ジュゼッペ・トルナトーレ監督のミステリー『題名のない子守唄』、ジャンニ・アメリオ監督の名作『家の鍵』など日本公開作も多い。

    主な出演作:

    2000ラ・カルボナーラ(イタリア映画祭2002)
    2001最後のキス
    2002炎の戦線エル・アラメイン
    2004家の鍵
    野良犬たちの掟(DVD 発売のみ)
    2006題名のない子守唄︱ナイトミュージアム
    2008セントアンナの奇跡︱ナルニア国物語 / 第2章: カスピアン王子の角笛
    2009天使と悪魔
    2010星の子どもたち︱30日の不倫(DVD 発売のみ)︱もう一度キスを(イタリア映画祭2011)
    2011気楽な人生(イタリア映画祭2012)
    2012司令官とコウノトリ(イタリア映画祭2013)︱天国は満席(イタリア映画祭2013)︱フォンターナ広場―イタリアの陰謀
    2013ワールド・ウォー Z

  • ミケーラ・チェスコン

    (ピネッリの妻 リチャ)

    1971年4月13日、ヴェネト州トレヴィーゾ生まれ。トリノの演劇学校を卒業後、舞台女優として華々しいキャリアを重ねる。2004年、マッテオ・ガローネ監督の『Primo amore』に起用され、いきなりダヴィッド・ディ・ドナテッロ賞主演女優賞にノミネートされて映画界でも高い評価を得る。

    主な出演作:

    2004Primo amore
    200513歳の夏に僕は生まれた︱聖なる心
    2008潮風に吹かれて
    2009愛の勝利を ムッソリーニを愛した女
    2010むかしMattoの町があった
    2012フォンターナ広場―イタリアの陰謀

  • ラウラ・キアッティ

    (カラブレージ警視の妻 ジェンマ)

    1982年7月15日、ウンブリア州カスティリオーネ・デル・ラーゴ生まれ。歌手として芸能活動を始める。1996年、ミス・ティーン・ヨーロッパに選ばれ、TVドラマで彗星のごとく女優デビューを飾る。その華やかな魅力で度々ゴシップ誌のターゲットにもなったが、近年は、本作のジョルダーナ監督をはじめ、ソレンティーノ、コメンチーニ、アヴァーティ、トルナトーレといった名匠たちに起用され、演技者として輝きを増している。

    主な出演作:

    2006家族の友人(イタリア映画祭2007)︱私たちの家で(イタリア映画祭2007)
    2009バール・マルゲリータに集う仲間たち(イタリア映画祭2010)︱シチリア!シチリア!
    2010SOMEWHERE

  • ファブリツィオ・ジフーニ

    (アルド・モーロ外相)

    1966年7月16日、ローマ生まれ。ローマのシルヴィオ・ダミーコ国立演劇芸術アカデミーを卒業し、様々な舞台で批評家賞を受賞するなど目覚ましい活躍で注目される。1996年からは映画にも進出し、中でもジョルダーナ監督の『輝ける青春』で演じた、主人公ニコラの友人で、妹フランチェスカの夫になるカルロ役で強い印象を残した。

    主な出演作:

    1998いつか来た道
    2000パルチザン対ナチス解放戦線
    2001ハンニバル
    2003輝ける青春
    2007湖のほとりで
    2011バッグにはクリプトナイト(イタリア映画祭2012)
    2012フォンターナ広場―イタリアの陰謀

  • ルイージ・ロ・カーショ

    (予審判事 ウーゴ・パオリッロ)

    1967年10月20日、パレルモ生まれ。大学在学中に演劇に目覚め、パレルモで街頭演劇集団の一員として活動を始める。2000年、ジョルダーナ監督に出会い、『ペッピーノの百歩』の主人公に抜擢され、圧倒的な名演でダヴィッド・ディ・ドナテッロ賞主演男優賞に輝く。以降イタリア映画界になくてはならない俳優となる。特に、ジョルダーナ監督の『輝ける青春』でのニコラ役は忘れ難い。

    主な出演作:

    2000ペッピーノの百歩
    2001ぼくの瞳の光
    2003輝ける青春︱夜よ、こんにちは
    2008セントアンナの奇跡︱狂った血の女(DVD 発売&TV 放映)
    2009シチリア!シチリア!︱バール・マルゲリータに集う仲間たち(イタリア映画祭2010)
    2010われわれは信じていた(イタリア映画祭2011)
    2012フォンターナ広場―イタリアの陰謀

  • ジョルジョ・コランジェリ

    (情報局副局長 ダマート)

    1949年、ローマ生まれ。ジョルダーナ監督とは、1995年の『Pasolini, un delitto italiano (パゾリーニ、イタリアの犯罪)』で初めて組む。その他、エットーレ・スコラ、パオロ・ソレンティーノら名匠の映画にかかせない名脇役。

    主な出演作:

    1998星降る夜のリストランテ
    2008人生、ここにあり!︱イル・ディーヴォ―魔王と呼ばれた男―
    2009頭を上げて(イタリア映画祭2010)
    2010イラクの煙(DVD 発売のみ)︱我らの生活(イタリア映画祭2011 上映題:ぼくたちの生活)
    2012フォンターナ広場―イタリアの陰謀

  • オメーロ・アントヌッティ

    (ジュゼッペ・サラガト大統領)

    1935年8月3日、フリウーリ=ヴェネツィア・ジュリア州バシリアーノ生まれ。タヴィアーニ兄弟、ビクトル・エリセ、テオ・ アンゲロプロスと、世界的名匠の代表作の多くに出演している名優。

    主な出演作:

    1977父/ パードレ・パドレーネ
    1980アレクサンダー大王
    1982サン・ロレンツォの夜
    1983エル・スール
    1984カオス・シチリア物語
    1987グッド・モーニング・バビロン
    1994カストラート
    1997ライフ・イズ・ビューティフル
    2002法王の銀行家 ロベルト・カルヴィ暗殺事件
    2008セントアンナの奇跡
    2012フォンターナ広場―イタリアの陰謀

監督

監督・原案・脚本:マルコ・トゥリオ・ジョルダーナ

1950年、ミラノ生まれ。
処女作『Maledetti, vi Amerò(呪われた者たちを愛す)』が1980年のロカルノ国際映画祭でグランプリを受賞。その後も戦後イタリアの現代史に題材を取りながら、同時にみずみずしく豊かな映像表現で、単なる政治映画とは一線を画した、人間的な秀作、傑作を生み出している。1995年に発表した『Pasolini, un delitto italiano(パゾリーニ、イタリアの犯罪)』は、パゾリーニ暗殺事件に迫り、その真実を世に問うた問題作。2000年の傑作『ペッピーノの百歩』はベネチア国際映画祭はじめ多数の映画祭で絶賛された。2003年の『輝ける青春』は1966年から2003年にいたる37年間のイタリア現代史を一つの家族の姿を通して描いた6時間余の大河ドラマで、当初各1時間半の4回シリーズのTVドラマとして企画されたが、最終的に劇場公開映画として完成させ、カンヌ国際映画祭ある視点部門で最優秀賞を受賞。興行的にも世界中で記録的な成功をおさめた。

主な監督作品
1980 Maledetti, vi Amerò
1981 La Caduta degli Angeli Ribelli
1988 Appuntamento a Liverpool
1991 夜ごとの夢/イタリア幻想譚 *オムニバス、第三話「炎の中の雪」を監督
1994 L'Unico Paese al Mondo(短編)
1995 Pasolini, un delitto italiano
1996 Scarpette bianche
1997 La rovina della patria
2000 ペッピーノの百歩
2003 輝ける青春
2005 13 歳の夏に僕は生まれた
2008 狂った血の女(DVD 発売&TV 放映)
2012 フォンターナ広場―イタリアの陰謀

監督へのインタビュー

—— ある日、若者の一団が、テレビの報道番組でインタビューを受けているのを見た。そのナイーヴな答えから、彼らがフォンターナ広場での出来事について何も知らないことが分かった。何人かは、自分たちは情報通であると胸をはっていたが、フォンターナ広場の事件を“赤い旅団”によるテロであったと言っていた。同じ質問を大人にしたとしても、おそらくは同じような回答だっただろう。イタリアの歴史において決定的な、このきわめて重要な事件について、今や間違った情報が広まっている。

—— 「かすむ霧、月のない夜、すべての牛は闇に溶ける」。
誤った情報とは、隠し通された一つの「秘密」に起因するのではなく、それはむしろ、その膨大な量のデータが混乱し、互いを隠してしまっていることから生まれるのだ。事件についての文献も、時とともに測り知れないほど大量に出版され、パズルにピースを加え続け、この事件の暗い闇に若干の光があてられた。しかし、逆説的に、一般的な感覚で捉えれば、その絵は、いっそう複雑に難しいものになってしまった。 他方、いわゆる「専門家による」調査も、この種の危険を免れているわけではない。

—— しかし、私は映画ならば、(たとえその必要性から簡略化したものを通してさえも)観客の記憶に訴えかけ、あたかも個人的に体験したかのように人々が事件につながり、ピースをつなぎあわせることが可能なのではないかと思った。 

—— そのためには、偏見なしに、都合による解釈なしに、フォンターナ広場の恐ろしい物語に関わり、記述することが非常に重要であると考えた。それには、鍵となる出来事を一列に並べること、事実を物語ること、そして、関係する人々の名前をそのまま使うことが重要だった。私はそのために、時の経過が蓄えたすべての情報を調査した。

—— この映画が描くことは、イタリア人だけでなく、世界中の観客にとっても興味があるはずだと信じている。イタリアは常に良かれ悪しかれ(おそらくは「良かれ」より「悪しかれ」だが)、独創的な政治の「実験室」だった。最も想像的で最も広範囲に効果をあげる、権力を守るための技術や装置を、それを世界に輸出する前に試して、洗練させる、魅惑的で残酷な「実験室」、それがイタリアだったからだ。

〈フォンターナ広場爆破事件〉から40年以上が経過した今日、知りたいと願うなら誰もが近づけるものとなった。この事件について語り、扉を開く時がやってきたのだ。

マルコ・トゥリオ・ジョルダーナ

*オリジナルプレスより抜粋

登場人物

上映劇場